Live Blu-ray & DVD『Sang Live at Zepp DiverCity Tokyo』発売記念 KAMIJO・10,000字スペシャル・ロングインタビュー #2

――「Bastille」が終わった後、額縁の中にはベートーヴェンが登場するわけですが。

KAMIJO:Symphony of The Vampire 第五楽章「Sonata」に入るところですね。ベートーヴェンはルイ17世と“仲間”のような関係なんですけど、ステージ上でも時雨(Ba.)くんが僕に寄り添ってくれて。この曲は歌い出しからギターがいなくなって、ベースと歌だけになるので、ライヴではよくベーシストの方が寄り添ってくれるんですよ。今回も時雨くんが寄り添ってくれて、良い画になっているんじゃないかなと思います。

――ベートーヴェンとルイ17世との関係性を投影したような演奏シーンが見られると。続いて、また報道番組的な映像が挟み込まれます。

KAMIJO:サンジェルマン伯爵がメディア出演しているシーンですね。

――サンジェルマン伯爵は『Sang』の中で非常に重要な役割を果たしていますよね。

KAMIJO:でも最初、(物語の中で)サンジェルマン伯爵はいなかったんですよ。『Heart』(アルバム/2014年)を作っている時に、ルイ17世をヴァンパイアにした真祖の存在を考えていて。デビューシングル『Louis ~艶血のラヴィアンローズ~』の中では現Moi dix Moisで、MALICE MIZERのリーダーでもあるManaさんにご登場頂いて、その役をやって頂いているんです。

――その時はまだ“ルイ17世をヴァンパイアにした真祖”というだけで、サンジェルマン伯爵という人物は出てきていなかった。

KAMIJO:ストーリーに落とし込んでいく中で、“そこにあたる人物というのは誰になるんだろう?”ということを考えていて。歴史をどんどんさかのぼっていったら、サンジェルマン伯爵にたまたま出会ってしまったというだけなんです。

――偶然の出会いがここまでつながっている。

KAMIJO:そこはベートーヴェンを選んだ時点から、そういう感じだったかもしれないですね。元々僕はベートーヴェンよりもショパンが好きだったんですよ。でもルイ17世について掘り下げていったら、自然と興味が湧いてきて…。ベートーヴェン(のファーストネーム)はルートヴィヒなんですけど、フランス語読みをすると“ルイ”なんです。

――そこでもつながると。

KAMIJO:『Symphony of The Vampire』の中で“もう1人のルイ”とは誰なのかということを、最初は明かしていなくて。CDの発売タイミングで初めて、それがベートーヴェンであるということを表に出したんです。そういうふうに自分が元々は興味がなかった歴史上の人物も自分自身の物語の中に出てくることで興味を持つようになって、そこから勉強が始まる感じですね。

――歴史を知らない人が見ても、その存在に興味が沸くような人物を題材にしているところが面白みにつながっている気がします。

KAMIJO:学校の音楽の授業を通じてモーツァルトやベートーヴェンといった色んな音楽家のことを知ってはいても、まさかその人物とマリー・アントワネットが同じ時代に生きていたということまでは想像しないと思うんですよ。でも僕の物語の中では共存していますし、史実の中でも共存していて。事実、ナポレオン・ボナパルトとベートーヴェンは意識的なところで対立もしていたんです。

――そういう流れもあって、「闇夜のライオン」の前にナポレオンが突如登場するわけですね。

KAMIJO:「闇夜のライオン」の冒頭でナポレオンがZepp DiverCity Tokyoに集まった兵を煽るという…。ナポレオンに煽られることなんて、なかなかないですよ(笑)。

――そうでしょうね(笑)。

KAMIJO:今度はサンジェルマン伯爵に“残り3曲だ~!”とか、未来を予測してもらうのも良いかもしれない(笑)。

――歴史上の重要な場面で忠告を与えに登場したというエピソードもある人物なので、“あと3曲で終わったら、ちょうど良いと思うぞ~”と言ったりとか(笑)。

KAMIJO:あくまでもアドバイスなんですよね(笑)。こういうふうに登場人物が独り歩きしていって、今ではファンの皆さんの間でモノマネされていたりもするんですよ。そうやってストーリーを自分で広げられるというところが、『Sang』の最大の魅力かもしれないですね。

――登場人物がそれだけ魅力的なキャラクターばかりというのも大きいのかなと思います。

KAMIJO:実は今回のツアー20公演は、ファイナルを含めて合計4本の脚本に沿って実演しているんです。最初は“マリー・アントワネット編”で、2つめが“ルイ16世編”、3つめが“ナポレオン・ボナパルトとベートーヴェン編”、そしてツアーファイナルは“ルイ17世編”ということになっていて。それぞれに主役となる人物がいるんですけど、その人の感情をメインにしつつも色んな人の視点を混ぜ込むことによって、どんどんストーリーに身を委ねられるような作りになっているんですよね。

――20公演の中で、どういう区分けになっていたんですか?

KAMIJO:初日から4月21日の仙台CLUB JUNK BOXまでが“マリー・アントワネット編”で、4月29日の神戸VARIT.から5月19日のHEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2までが“ルイ16世編”、5月26日の新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGEから6月16日のHEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3までが“ナポレオン・ボナパルトとベートーヴェン編”ですね。

――最初から4本の脚本を使い分けて、ツアーをまわる予定だったんでしょうか?

KAMIJO:最初は全部、同じ脚本でツアーファイナルまで行く予定だったんですよ。脚本を書く時も初めは慣れなくて大変だったんですけど、どんどん面白くなっていって。声優さんのスケジュール調整もして頂いているのでそこまでに(脚本の)原稿を仕上げなくてはいけなくて、まるで〆切に追われる作家のような気分でツアーをまわっていました(笑)。

――ツアーをまわり始めてから、脚本を変えようと思ったんですね。

KAMIJO:ファンの方の反応を見ていて、“ナポレオンにファンの方を煽ってもらいたい”とか色んなことを考えるようになって。そうやってツアーの中でライヴをどんどんブラッシュアップしていくためには、必要なことでした。

――それが「闇夜のライオン」の冒頭で具現化している。

KAMIJO:はい。あれは第三幕(“ナポレオン・ボナパルトとベートーヴェン編”)からなので、ツアーの後半から始めたことなんですよ。

――その「闇夜のライオン」から「Delta」を経て、「Castrato」につながっていきます。

KAMIJO:「Castrato」は煙に包まれた中で歌うんですが、サンジェルマン伯爵の視点で書いた歌詞というのもあって、自分自身が変わってしまうというか…。いつものKAMIJOではない、「Castrato」になっていますね。

――サンジェルマン伯爵が乗り移っているような状態というか。

KAMIJO:作詞している時は本当にそんな状態でした。歌っている時もそういう感じになっているんじゃないかなと思いますね。

――その後は「Ambition」から「Sang I」「Sang II」と続いていって。

KAMIJO:『Sang』の中でもメインになる2曲ですね。「Sang II」の一番最後のサビの部分は、ものすごく(声のトーンが)高いんですよ。でもライヴだとちゃんと出るっていう。リハーサルだと出ないんです(笑)。

――ライヴ本番だからこそできる表現なんでしょうね。

KAMIJO:いかに“信じられるか”だけなんですよ。ここの部分が『Sang』というアルバムを通して最大の聴かせどころなので、映像でも楽しんで頂けたらなと思います。

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Interview:IMAI(JUNGLE LIFE編集部)

 

KAMIJO/Live Blu-ray & DVD『Sang Live at Zepp DiverCity Tokyo』セルフライナーノーツがJUNGLE LIFE Webに掲載中