Live Blu-ray & DVD『Sang Live at Zepp DiverCity Tokyo』発売記念 KAMIJO・10,000字スペシャル・ロングインタビュー #3

――その後に衝撃的な処刑シーンがあるわけですが…。

KAMIJO:ルイ16世が処刑され、そしてマリー・アントワネットも処刑されてしまうシーンなんですけど、ここが2番目の泣きどころですね。このシーンでは「Vive le Roi」が(バックで)流れているんですよ。その“Vive le Roi”という言葉は、実際にマリー・アントワネットがルイ17世に言ったセリフなんです。それを元にして作った曲なんですが、まさか史実通りの形でこの楽曲を使うことになるとはこのツアーが始まるまで思ってもいませんでした。

――自分でも想像していない展開だった。

KAMIJO:マリー・アントワネットが“Vive le Roi”と言うところでどの曲を流そうかと悩んでいたんですけど、ふと“あ、「Vive le Roi」だ”と思って。その言葉自体が答えだったと気付いた時は、自分でも背筋が凍りつくような感覚になりました。自分の過去に、答えがあったという…。

――そこから「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」に入っていくわけですが。

KAMIJO:この曲の中間部分で全ての演奏が抜けて、一気に様々な人物の言葉が聞こえてくるところがあって。マリー・アントワネットの“シャルル~!”という叫びから、ベートーヴェン、ナポレオン・ボナパルト、ルイ16世、サンジェルマン伯爵といったみんなの想いが一気にルイ17世に押し寄せてくる感じがして…今、動画を見ただけでも泣けちゃうくらいですね。

――自分でもそう思えるほど、感動的な表現ができている。

KAMIJO:本当にそこに全てを賭けていましたし、あの場面が今回のツアーで最大のハイライトだったと思います。僕はこの映像作品に収められている「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」が完成形だと思っているんですよ。もう将来これを超えられないんじゃないか…いや、超えられなくても良いと思うくらいですね。この楽曲に関しては、この日に完成しました。

――この後に続く「Sang ~君に贈る名前~」も感動的な楽曲ですよね。

KAMIJO:この曲は、ルイ17世の身代わりになった少年について歌っていて。世界中で色んな人たちが望まずして命を落としてしまっている中で、僕たちはその人たちが本来生きていたであろう未来を生きているわけじゃないですか。そういった人たちの分まで今の自分たちは生きているんだと考えたら、“もっと笑わなきゃいけないな”と思ったんです。「Sang ~君に贈る名前~」はそういったメッセージを込めて、この日のために書いた曲なんですよ。

――ツアーファイナルでやることを想定して作った曲だった。

KAMIJO:本当にこの日・この瞬間のために書いた歌詞なので、それ以外ではほとんど歌ったり演奏したりもしていないんです。ツアー中に作ったので、当初はリリースする予定もなかったんですよ。そういう意味ではこのツアーがあったからこそ、生まれた曲でもありますね。実際のライヴでは声の震えを抑えながら歌うのが大変でした。Aメロの部分で、そのあたりは感じてもらえるんじゃないかなと思います。

――そのくらい高ぶっていたと。

KAMIJO:あと、この楽曲について改めてお話しさせて頂きたいことがあって。“望まずして命を落とした”という言葉は“自ら(そうした)”という意味ではないので、そこだけは皆さんにわかっておいて頂きたいなと思います。ルイ17世の身代わりになった少年も虐待を受けて、望まずして亡くなってしまっただけで、本当だったら夢を持ってまだまだ生きていたかもしれないわけですから。そういうこともある世界に向けて、この曲を書きました。

――「End Roll I (mademoiselle)」が流れて本編が終了した後に、初音ミクさんが登場するゾーンからは雰囲気がガラッと切り替わりましたよね。

KAMIJO:そこまでで本編が終わって、その次のゾーンに関しては“初音ミクちゃんと一緒に遊ぼう”という感じでしたね。

――最初にサンジェルマン伯爵が登場して、“私にも知らない未来があるとは…”と発言するシーンが印象的でした。

KAMIJO:そこは歌詞の通りなんですよね(※“伯爵も知らない まだ見ぬ未来へ 飛び込もうよ”「私たちは戦う、昨日までの自分と」より)。初音ミクちゃんと一緒に歌わせて頂いた一番の理由として、“永遠への憧れ”というものがあるんです。

――永遠を求めている?

KAMIJO:“永遠を手に入れてしまう”ことよりも、永遠に憧れて、そこに向かう人間の意識こそが素晴らしいんじゃないかと思うんです。花は散る瞬間が美しいと言われますけど、僕がLAREINEというバンドをやっていた時は“永遠に咲き続ける花になりたい”と思っていたんですよ。その後のVersaillesは結成当時からそのストーリー(の流れ)で、“永遠に生きていかなければならないものの孤独”をずっと描いてきて。そして今、ソロではこういった形で描いているので、やっぱり常に“永遠”というのはテーマとしてありますね。

――初音ミクさんはその“永遠”の象徴でもあるわけですよね。

KAMIJO:初音ミクちゃんには、本当に色んなことを教えて頂きましたね。アンコールで使用したミクちゃんの映像に関してはYouTubeで公開しようかなと思っているので、そちらもぜひ見て頂けたらと思います。

――そんな初音ミクさんとのコラボコーナーが終わった後に、なんと“本日の処刑“が待っているという…。

KAMIJO:これもツアー後半から始めたんですけど、誰が処刑にかけられるかは僕らも知らないんですよ。処刑人に指名された人がお立ち台という名の断頭台に上がり、ポーズを決めなければならないという…(笑)。最終日は僕がギロチンにかけられ、真っ赤に染まったところで「薔薇は美しく散る」が始まるという流れでした。

――この曲が終わって、次の「Mystery」に入るところでKAMIJOさんが“ここから先は打ち上げだ!”とおっしゃられていて。

KAMIJO:ここからは打ち上げですね。チケット代には含まれていません(笑)。

――全力で楽しむという気持ちの現われだったりもする?

KAMIJO:今回、本編はしっかり決め込んでいたので、アンコールというかこのオマケの部分に関しては“いかに予定していなかったことを引き起こすか”というのを毎回楽しみにしていたんです。最後の「Vampire Rock Star」ではドラムセットの前にメンバーが集まって、みんなでコーラスをやったりもして。そういうシーンも楽しかったですね。

――最後をこの日2度目の「Vampire Rock Star」で終わるというのは決めていたんですか?

KAMIJO:はい。「Vampire Rock Star」はツアー中どこでも大体2回やっていましたね。この曲は自分の“ライヴ”というものを変えてくれた曲でもあるから。本編はシナリオがきちんとあって、ガチガチに固まっているコンセプトライブなので、アンコールではいかに理性を吹っ飛ばすかっていう。そのためには、この曲の力が必要でした。

――“ライヴ”というものを変えてくれたというのは、どういった部分で?

KAMIJO:僕のライヴを“ファンのみんなが声を出して、より楽しむ”というところにこの曲が連れて行ってくれたんですよ。この曲が加わったことで、僕のライヴは以前よりも“ヘヴィ“になりましたね。

――そんな重要な曲だからこそ、2回演奏したわけですね。

KAMIJO:そこからエンドロール(「Sang III」)後にニュースが特報的な感じで流れて、そのままSymphony of The Vampire 第七楽章「Throne」をやって終わりました。その全てを余すことなく、今回の映像作品には収録しています。

――最初にお話があったように『Sang』という作品について、ライヴとして1つの完成形を見せることができた公演だったのかなと思います。

KAMIJO:アルバムを聴いただけではわからないような部分も、今回のツアーですごくわかりやすくなったと思います。特にツアーファイナルでは、それまでどこの会場にも来られなかった人にもちゃんと物語がわかるように構築したんですよ。もちろんどこかの会場に来たことがある人も感動できるような流れを作れて、最終的にこういう“作品”という形にまで落とし込めたのは良かったですね。

――実際に現場でツアーファイナルを観ていた人でも、楽しめる内容になっているのでは?

KAMIJO:現場を観ていた人も、映像になったことで“あ、こんなことがあったんだ”という発見もあると思います。楽曲だけじゃなくて、セリフがあって、映像があって、ファンの皆さんがいて、初めて1本のストーリーになったと思うんですよ。だから、これこそが“ライヴ”という形を除けば、本当の意味での『Sang』という作品なんじゃないかなと思いますね。

――音源とはまた違う意味で、映像やオーディエンスとの一体感も含めて『Sang』という作品が完成した。

KAMIJO:僕が初めにイメージしていた以上の形が作れたので、本当に作品を皆さんと一緒に作ったという感覚ですね。普通のライヴビデオとは、もう全く違うものですから。ただのライヴ映像ではないので、ぜひ観て頂けたらなと思います。

――リリース翌日の12月20日に開催されるSang Project Act V「The Sangs -2018-」の第1部で“Sang Live at Zepp DiverCity Tokyo”のディレクターズカット版ライヴを行うということですが、そこでは今回の映像作品には入っていない部分も観られるということでしょうか?

KAMIJO:そうなんです。声優さんたちみんなで声を合わせて言ったセリフや、決めどころで“これを使おう”と決めていたものもあるんですけど、そういう大切なセリフを(Zepp DiverCity Tokyo公演では)一部カットしているんですよ。せっかくなので、そういうところも今回は楽しんで頂けたらなというところですね。基本的には今回の映像作品と同じなんですけど、そこにディレクターズカット版ということで色々と付け加わったりしています。

――基本になる部分は同じなんですね。

KAMIJO:物語自体は同じなんですけど、セリフや演出やシナリオが少し違うという感じですね。Zepp DiverCity Tokyo公演では、あれがベストだったと思うんですよ。ただ、今回はディレクターズカット版ということで、“こういったバージョンも面白いんじゃないかな”という感じです。本当に映画のディレクターズカット版と同じで、ディレクターや監督の自己満足バージョンというか(笑)。

――それはそれで楽しみです(笑)。来年はSang Project Act VIとして、Live Tour 2019 “Symphony of The Vampire”の開催も決まっています。

KAMIJO:来年3月のツアーには、この『Sang』の原点とも言える作品タイトルを付けていて。このタイミングでこのタイトルを付けた理由としては、今回こうやって色んな方に『Sang』というものを聴いて頂いた上で、『Symphony of The Vampire』についてももっと知って頂きたいからなんです。それによって『Sang』もさらに広がると思いますし、原点に戻りながら過去の楽曲もリメイクして、より大きな形で多くの方々に届けたいですね。

――その後には3月27日(水)にEX THEATER ROPPONGIでオーケストラとの共演を果たすわけですよね。

KAMIJO:Act VIIとして、Dream Live “Symphony of The Vampire” KAMIJO with Orchestraが決まっています。しかも、その日はルイ17世の誕生日なんですよ。満234歳を迎えるんです(笑)。

――それをみんなで祝おうと。

KAMIJO:はい、生誕祭ですね。まさか日本で234歳の誕生日を祝われるとは、(ルイ17世自身は)思いもよらないと思うんですよ。しかも勝手にヴァンパイアにされるなんて…(笑)。

一同:ハハハハハ(笑)。

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Interview:IMAI(JUNGLE LIFE編集部)

 

KAMIJO/Live Blu-ray & DVD『Sang Live at Zepp DiverCity Tokyo』セルフライナーノーツがJUNGLE LIFE Webに掲載中